コンビニのレジでの話。
コンビニのレジでの話。
538円と言われたのでピッタリの金額をお金を置くお皿に置いた。
ふと置いたお金を見ると、五円玉がなんかおかしい。
それは今まで見たことのない古めかしい五円玉で、”国”の字が”國”になっている。
(な、何だこの珍しい五円玉は!)
心のなかでそう叫ぶと、その五円玉がひどくもったいなくなってきた。
よし、五円玉と一円玉を下げて十円玉を出してお釣りをもらおうと思ったのだが、
考えてみるとぴったり出したものを取り下げてお釣りありきに変えるというのはなんだか変だ。
その行動は不審ではなかろうか。
どうしよう、五円玉は惜しいが不審な目で見られるのもつらい。
どうしよう、どうしたらいいだろう…
そんな風に迷っていると買ったものを入れ終わったレジのお姉さんが
「ちょうど頂きますね」と言って置いたお金を回収されてしまった。
もう遅い。
あの五円玉には二度と出会うことはないだろう。
文字どうり、五円(ご縁)がなかったわけである。
うまいことを言うなぁと我ながら感心していると同時にふと思い当たる。
私は自分の恋愛もいつもこんな感じだなぁ…。
あれやこれやうじうじと迷っているうちに気がついたら手が届かなくなってる。
いつもそんな感じだったぁと思い返して苦笑する。
もう出会えぬ五円玉に人生の機微を見た気がしたよ。。